#読書
この小説は、短編がいくつか集まって一つの小説を形作るように書かれた漱石の実験小説である。 その構成に、少し破綻があるのではないかと、かねてから批判されてきた作品でもある。 実際、面白いのは、敬太郎が森本の冒険談に胸を躍らせる話より、その敬太…
雇用や労働に関する問題、格差問題について、考えるきっかけを与えてくれる。 格差や貧困が個々人の問題であり、同時に社会構造上の問題でもあることを読者に投げかけている。 一人一人が自分らしく働いたり、共生できる社会であるためにどうすればいいのか…
いろいろと分からないことがある。 どうして先進諸国では少子化が進むのだろうか。 高度経済成長のピークを過ぎると、バブル経済が起き、経済的混乱の後、景気の停滞と不況が起き、リストラや破産が進む。これは先進諸国のすべてが辿る道なのだろうか。(ヨ…
暉峻淑子『社会人の生き方』を読み始めた。 わしたちは、「社会人」としての心構えもないまま社会に放り出される。 しかも現代のグローバル過当競争社会では、組織や自己利益を優先し、社会全体の利益に気が回らなくなる生き方を強いられる。そんな状況に警…
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み終えた。 多崎つくるが、まるで自分のように感じられた。 自分という存在が、春樹さんには見通されているように思われた。 きっと現代人の中に共通するものがあり、それを具体的な形にして春樹さんは見せ…
昨日図書館んで借りてきた。 ずっとウェーバーのことが気になっていたのだが、三浦展の現代訳という文句につられる。 書店での講演という本書。あまりに有名だ。 それにしても、ずっとウェーバーのことが気になってきた。 宮台真司がよく言及することもある…
丸山圭三郎『ソシュールの思想』を読み始めた。 はじめの章は、ソシュールの伝記だが、ソシュールという人がどれくらい才気あふれる人物だったか、周囲の人がソシュールの人となりをどう捉えていたかの証言が紹介され、ソシュール像が浮かび上がってくる仕掛…
いかに生きるべきかという問題は、どんな習慣を身に付けるべきかという問題と同義である。 かつて「自分を鍛える」というドットの本を読み、こんな風に勤勉に生きていけたら、自分は何者かになれるのではないか?!と思った。しかし、現実はこの通りである。…
視力が低下した。もともと視力は良くないが、年齢だろう、老眼が進んできた。 もう日常生活にも不便を来たすレベルである。 今の視力に合った眼鏡(老眼鏡?)を作るべきかと考えている。 似た経験をお持ちの方も多いだろう。 『レジリエンス入門』(ちくま…
河合隼雄『大人になることのむずかしさ』(岩波現代文庫)を読む。 1983年の出版というから、かれこれ30年以上も昔の本だ。 これがマンションなら、築30年以上ともなれば、相当ヴィンテージ感があるだろうが、 河合隼雄の本は、今読んでも古さを感じさせ…
「JAZZ GUITAR GIANTS ジャズギタリスト進化論」石沢功治 著(リットー ミュージック) JAZZギター史に燦然と輝く名ギタリストの業績をまとめたムック。 ■モダン・ジャズ・ギターの開祖、チャーリー・クリスチャン ■正統派ジャズ・ギターの巨人、バーニ…
遠藤周作の『沈黙』を読んだ。 これまでも、遠藤の名前を何度も聞き、『沈黙』の名を何度も聞いた。 今回、初めから終わりまで通して読んでみて、改めて『沈黙』の偉大さに恐れいる。 小説の主人公に心の奥底からシンパシーを感じ、僕はキリスト教徒ではない…
2008年に出版された本。先日○ックオフという古本屋で購入。 世の中は男と女の二つの性別がある。やがて大学の授業では、生物学的な性とは異なる社会的な性としての「ジェンダー」という言葉を教わる。そして、セクシャリティーの問題として、異性愛(ヘテロ…
この本、書店のビジネスコーナーに平積みにされているのである。「6万人中1位をとった勉強法」という帯が付されていて、てっきり6万人の読者アンケートで1位の評価を得た本なのか?と思ったら、著者が浪人して受けた代ゼミか何かの模試で全国1位をとっ…
『風の歌を聴け』は、1979年に発表された春樹さんのデビュー作。 ストーリーを細かく章断に断片化してバラして、順序を入れ替えて、再構成したようなスタイルの、ちょっと不思議な感じの小説です。 ストーリーは、1979年現在で29歳になる「僕」という語り手…
架空の書物に対する批評を書けというのである。 そんなの無理だがな。 そもそも今月は体調を崩し、仕事もままならない状況であったのだ。 もう書く気力も残っていない。 そもそも「架空の書物」って一体・・・? しかも、この書評を皆が読んで面白いと思って…
2008年3月発行。ビジネス書の超ベストセラーにしてドル箱書籍。ノート術の金字塔であるばかりでなく、そのネーミングは多くのビジネス書に影響を与えた。今でも「~なさい」と銘打たれたビジネス書が刊行され続けている。 本書は、全てのメモを一冊のノート…
「ワーキングプア」という言葉が登場したのは2006年のこと。あれから4年が経ち、現在の社会状況を見れば、この言葉は今もって深刻さを増しているように思われる。ここ数日は朝日紙上では「弧族の国」というシリーズ連載が出ているが、ワーキングプアの泥沼…
品格ブームというのが数年前、確かにあった。 『国家の品格』が世に持てはやされていたと記憶するが、そんな中で本書『女性の品格』が話題となり、あれよあれよといううちにベストセラーに登り詰めたという印象がある。初版は2006年10月。今から4年前という…
東京の街を歩くときに、あると便利なのがガイドブック+地図の機能を持った本だ。 十年前に昭文社から出ている『街ナビ マップル東京・横浜』。これが、文庫サイズで持ち歩きに便利な上、地図専門の会社だけあって、詳しい地図があり、注目スポット&ショッ…
『モレスキン 「伝説のノート」活用術~記録・発想・個性を刺激する75の使い方』という本がダイヤモンド社から出ました。 内容についての感想は、う~ん、何と言ったらいいんだろう。 「別にモレスキンでなくても、100円ノートでいいじゃんか」 モレスキン…
藤原和博といえば、東京都初の民間校長を務めた人として、その名を知る方もいよう。藤原氏は校長職の傍ら『よのなか科』という授業を持ち、これからの時代を生きる若者たちに必要な、知識蓄積型ではなく新しい学びのスタイルの授業を行って話題となった。そ…
今、加藤秀俊の『取材学』を読んでいる。索引の重要性という話が出てくる。 加藤氏は、読書を二つに分けて捉えているようだ。 (1)読み物としての読書 (2)調べ物として使うこと そして、情報過多な現代社会においては、(2)の読書法を人々は知るべき…
最近は書籍費が膨大になりつつある。 ここ最近買い集めているのは、国語教育関係の書物。 近所の図書館で借りればいいものもあるのだが、図書館にないもので買い求められるものは、是非買い求めておきたいし、是非とも所有しておきたいと思うものもある。 そ…
最近は、また大村はまを読み返している。 大村はまの著作は膨大で、豊かで、何を読んでも本当に面白い。 また、大村はまの仕事を分析した書物も数多くあるのだが、最近発見した苅谷夏子『優劣のかなたに――大村はま60のことば』(筑摩書房)は、大村はま論と…
最近、たくさん本を買ってきて、黙々と読んでいる。 夏休みを利用して、ちょっと海外に出ていたのだが、旅行先でも本を読んでいた。 海外にいると日本語を話せる相手は限られるので、日本語で書かれた本はある意味で、数少ない話し相手である。なので、ちょ…
最近は、ロバート・クレイの「バッド・インフルエンス」http://www.youtube.com/watch?v=L8eTOvMiee0という曲が頭の中で鳴り止まない。本当にいい曲なんですが、ブラック・ミュージックが好きな人には、きっと共感してもらえるはず。この曲はクラプトンがカ…
昨年からずっと買おうかどうか迷っていたけれど、やはり買うことにした。 (『中学総合的研究国語』旺文社) 写真や広告の読解という項目もあって、写真については芸術写真の読み方、報道写真の読み方というように、たいへん詳細で読み応えがある。ちょっと…
「昔、美しい女を知っていた」とある。 この女の縁談がきまった後に、その人の帯にちょっかいを出すエピソードが書かれている。 話の結末近くになると三重吉と「例の件」で話し合うとあり、その「例の件」が三重吉の姪だか誰だかの縁談話であることが暴露さ…
最近『知的生産の技術』を読み直した。 今のようにコンピュータが進化し、文字や映像を個人が扱える範囲が拡大してしまうと、和文タイプなどの話はいささか時代にそぐわなくなってはいるが、それでもなお、知的生産の技術をめぐる議論のすべては、この一冊に…