『沈黙』

遠藤周作の『沈黙』を読んだ。
これまでも、遠藤の名前を何度も聞き、『沈黙』の名を何度も聞いた。
今回、初めから終わりまで通して読んでみて、改めて『沈黙』の偉大さに恐れいる。
小説の主人公に心の奥底からシンパシーを感じ、僕はキリスト教徒ではないけれど、
信仰を失う悲劇というものを強く感じた。
この小説の登場人物は、踏絵を踏んだけれど、自己の信仰を失ったわけではない。
ポルトガル宣教師たちの、この逆説を理解しなければ、僕たちは暗黒の日本史の一部分を、
少しも理解したことにはなりませぬ。