『趣味の文具箱vol.7』

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『趣味の文具箱vol.7』が出た。
セーラーのペンドクター川口明弘さんのインタビューが掲載されている。
川口さんは「本当の万年筆とは、余計な力をペン先にかけなくても書けるもの」「ペンそのものの重さだけで、それ以上の力を紙に加えることなく紙に触れたときに毛細管現象が起きてインクが流れ出てこなければなりません」と言っている。
先日、川口さんに見ていただいたサファリは、以前とは違って、さらさらとインクが流れ出るようになった。インクが紙の上で盛り上がり、表面張力が働いているかのようである。

『趣味文』という雑誌は、ペン以外にも特集記事がたくさん載っていて、それがまたとても面白く興味深いものなのだが、今号にはC.W.ニコル氏の「17歳の北極探検日記」が載っている。このノートは、詳細なスケッチが織り交ぜられた日記なのだが、それが万年筆を使って美しく書(描)かれている。こういうノートを見ていると、とても楽しくなってくる。ぼくは、結構前から他人の日記やノートや原稿を見るのが好きなので、作家の書き残したノートや手帳や原稿を見ると、つい興奮して見入ってしまう。
また、面白い人というのは、いつも妙なことをノートに書き残していたりするもの。だいぶ前に、在野の考古学者藤森栄一氏の「暗中模索ノート」なるものを見たことがある。普通の大学ノートに発掘調査で集めた情報などを書き留めたものだったが、土器の欠片の模写、イラストなどが詳細に書き込まれていて、とても印象深いノートだった。
今となってはあまりに有名だが、レオナルド・ダ・ヴィンチも実にいろいろなことをノートに書き残している。昨年幸運にもイタリアのフィレンツェダ・ヴィンチのナマ手帳を見るチャンスに恵まれた。ガラスケースに展示された手帳は、思ったより小さく(今でいうA6くらいのサイズか)、小さな文字とイラストで埋め尽くされていた。
ノートに書くという行為は、単なる備忘録や記録というだけでなく、何かを創造していく作業であるように思われてならない。
今号には、他にも「フィールドノートに描く世界の旅の記録」「なんでもない日常を書き留めておく快感」といった記事もあり、絵と文字でノートに記録するさまざまなヴァリエーションを教えてくれる。
ノートを上手に使っていきたい人たちにとって役に立つこういった趣向の記事が、今後もさらに増えていって欲しいと思う。