時間管理術にご用心

最近は、何かと言えば時間管理術という。時間を管理して、効率を上げる。なりたい自分になる。そういうキャッチーな言葉が溢れている。
しかし、今の社会を見渡せば、効率化=収入増加=社会的ポジションの上昇、みたいなバブル絶頂期的な図式はもはや崩壊している。つまり、どれほど効率化を目指しても、収入増加につながらず、社会的ポジションも望めないような派遣労働orパートタイム的な仕事があり、一方で、効率化云々とは無縁な専門的職種に分かれてしまっているように思われる。この仕事の二極化は、大きな社会的問題だと思う。
それはそれとして。
問題なのは、今の社会において、どんなに頑張っても報われない仕事があり、不当に安い給料でこき使われている人々があり、そういう人たちこそが時間管理術に熱心になってしまっているとしたら、なんと皮肉な現実だろう・・・!?ということである。
僕は、時間管理術を収入アップとか、キャリアアップとかに結び付けない方がいいんじゃないかと考えている。
例えば、今月号のプレジデントでは「年収1500万の人と400万の人の手帳術」というタイトルの特集を組んでいるけれど、本当にうんざりさせられるタイトル。
手帳術で年収が変わるとでも言いたいのだろうか。そして、多分年収1500万の人はこの雑誌に見向きもせず、年収400万の人が購買層だとしたら、先の僕の予見は見事に的中ということになる。ああ悲しい。
それはそれとして。
時間管理術の最大の目標は、自分の人生を仕事にとられない!ということだ。
仕事は大事。しかし仕事以外の自分の時間も大事。そういう当たり前の認識に立って、自分の時間を不当に仕事に奪われないための工夫をするべきだ。それが、時間管理術の本質ではないだろうか。
僕は、自分の時間を使ってやりたいことが山ほどあるのだよ。
勉強したいことが山ほどある。
書道/イラスト・絵/語学/料理/ジャズギター/・・・
こういうふうに想像して、あれもこれもできたら楽しい!!と思えたなら、時間管理術の意味が自ずと変わってくるのでわないだろうか。少なくとも、今の雑誌の見出しに惑わされることはなくなるのではないか、と思われる。