without friends

昔、友人たちと同窓会的な飲み会をしたとき、店の料理を「油が悪い」とコメントしてしまったがゆえに、幹事に逆恨みされたことを思い出した。
悪意はなかった。ただ正直に感想を言ったまでのことだった。しかし、率直な意見を受け入れてくれるほど寛容な幹事ではなかったので(多分一般的に言って、多くの人は不愉快な気持ちになるものだろうけど)、後々散々なじられ絶交を言い渡された。コトがそこまで大きくなるとは思っていなかったので、さすがに驚いた。その時は、その幹事の狭量さに呆れ、つまらない奴だと放言はばからなかったが、今の年齢になってみれば、そんなに寛容な奴はおめでたすぎて貴重な存在であり、僕のような器量の狭い人間が交友関係の中に引き寄せられるはずがそもそもなかったのである。
僕はこのテの悪意なき軽率な発言で、多くの友人を失ってきた。
口は慎むに越したことはない。

しかし一方で、その程度の奴だったのだと見限ることもできる。
事実、これまで、僕はそのテの連中を見限ってきた。
見限ることで、自分を納得させてきた。
今にして思えば、それもまた切ない努力だったと思う。

以後、友人らしい友人を持たずに生きている。
仕事上の仲間とは、あくまで職場の付き合いに徹し、プライベートに持ち込まない主義である。
唯一気の合った方とは今でもたまに飲みに行ったりするけれど、それは例外のこと。
でも、それは無用な心配や気苦労をしない代わりに、興奮や熱狂からも遠い一抹の寂しさを感じさせるものではある。