クラシックギターへの架け橋

クラシックギターに興味を持ち始めたのは、まぁ突然と言えば突然なのだけど、伏線はあったといえばあった。
まず第一に、クラシック・ギタリストのメディアへの露出である。
むかしNHKソリトンという番組をよく見ていた。ある時、「ギター冬の時代」というテーマの回があって、その時ぼくにとってはあまり馴染みのなかったクラシックギターの名手たちが紹介された。そのとき初めてアンドレス・セゴビアの名前を知った。ジョン・ウィリアムスの名は、以前に知人からテープをもらったことがあったので知っていた。あまり熱心に聴いたわけではなかったのだが・・・・・・。それに山下和仁の名を知ったのも、このときが初めてだった。それと、村治香織の名前は、既に知っていた。村治さんが14歳か15歳の頃、新聞で紹介されていたのを読んでいたから。同世代に早熟の天才がいるということと、彼女が美人だったということが印象に残った理由だろうと思う。ただ、村治さんからクラシックギターに入ったかというとそうではない。時はしばらく経ち、2000年のミレニアムの年、僕はある私立学校の非常勤講師の職を得た。その頃買ったアルバムが、「image」だ。2004年に「Live image」というDVEを観た。その中で、木村大が三千院という曲を流麗に演奏しているのを見て、「こういうのもいいな」と思ったのを覚えている。当時は、大萩康司が登場し「情熱大陸」に出演したりもしていた。村治、木村、大萩と、クラシックギター界は、若い演奏家を得て盛り上がっていた。当時同僚だった、お茶の水女子大出身の子は、大の大萩ファンだったっけ。
そして、第二に、クラシック音楽に意外に親しんでいたこと。
子どもの頃、学校の音楽の授業で聞いたクラシック音楽。それに、ロックにはまってからも、イングヴェイは、G線上のアリア(Air on G strings)など、クラシック音楽の定番を聞かせてくれていた。
僕自身、中学校の頃によくクラシック音楽を聴いたな、ということもある。「題名のない音楽会」で聴いたハイドンのトランペット協奏曲を、今でもよく覚えているくらいだ。

そして2008年、YouTube。たまたま、セゴビアの演奏はあるかなと検索してみたらあった。いろいろ観ているうちに、何曲かはまった。そして、アンドリュー・ヨークを知った。実は、木村大の演奏した三千院が、アンドリュー・ヨークの曲だったと知って、そうなのかと感動してしまった。
ロックギタリストは、クラシック音楽を軽視する傾向があるけれど、それは間違っているとぼくは思う。クラシック音楽の好き嫌いとは別に、クラシックギターから広がっていく世界には、とても大きな魅力と可能性があるような気がする。アンドリュー・ヨークを知らないロックギター弾きは大勢いる。でも、アンドリュー・ヨークを知っているロック・ギタリストの方が、圧倒的に魅力あるギタリストになれるはずだとぼくは思う。