Jeff Beck の音楽

Jeff Beckの曲で最初に知ったのは、ダイアモンド・ダストです。

(Jack Thammaratによる演奏)

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変拍子と、映画のサウンドトラックみたいな音楽性が印象的でした。90年代初めの僕の認識では、クラプトンがブルース・ロックとポップスだったのに対して、ジェフ・ベックはクロスオーバー(フュージョン)系である、というもの。

その頃、80年代初めにロニー・レーンの呼びかけのもと集まったチャリティ・コンサート(ARMS CONCERT)をビデオで見ました。ジェフ・ベックが「レッド・ブーツ」などのインスト曲を攻撃的な演奏で披露していて、ジェフ・ベックのテクニックと音楽性に惹かれていました。

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そういえば、最初に買ったギター教則本竹田和夫監修)の挿絵写真にジェフ・ベックが載っていて、それがジェフ・ベックを知る最初だったことを思い出しました。ギタ~ の 練習: Fu~Fu no Fu

話は戻りますが、90年代に買ったアルバムが「ギター・ショップ」でした。

どうやってこの音を出しているの?と、ギター初心者だった自分には皆目分からずでした。「Two Rivers」は今でも名曲中の名曲だと思います。

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「Blow By Blow」と合わせて、当時の僕にとってジェフ・ベックの音楽はこの2枚のアルバムが全てでした。

2000年代に入り、初めてジェフ・ベックのコンサートに行きました。東京国際フォーラムでした。Charがジェフ・ベックを大絶賛していた頃です。

その後、ジェフ・ベックを聴かなくなっていたのですが、YouTubeなどでちょこちょこ見ているうちに、ギター奏法に注目するようになります。

ジェフ・ベックの音は、声のようですね。

歌を歌わない代わりに、ギターで声を表現しようとしているように感じます。オリジナル曲ではNadiaなんかがそうで、「哀しみの恋人たち」も実はそうだったんだと後から気づくのですが、ギターをコードやリズム楽器としてではなく、声として表現することに腐心してきたんじゃないか、と。Where were you なんかも、あの空気感はギターを声として表現していたからなんだと思います。今聴いても、あの不思議な音遣いは、一般的なギター奏法とはかけ離れていますよね。

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逆に、2000年代以降のジェフ・ベックは、一般的なギターの演奏とは一線を画したプレイしかしていないように 見えます。逸脱が常態化しているというか。ポップでもないし、壮大でもない。

「音楽には二つしかない、ジェフ・ベックの音楽とそれ以外」という言葉があるように、ジェフ・ベックは、誰にも似ていない独自のギター音楽を作り出そうとしていたのかもしれません。僕としては90年代までのジェフ・ベックが、最も斬新で面白かったと思います。

もう76歳になっているジェフ・ベック。いまだに独自の道を歩き、孤高の存在であることに、何より敬意を表します。