『教室という場所』佐藤学編著

教室に働く様々な力、拮抗する関係、それらが多くの矛盾やディレンマを抱え込む様相を分析し、学び合う共同体としての教室のあり方に問題提起する。
佐藤学氏の論考では、教室の様相を三つに分類し、それぞれが何を得て何を失うのかを整理している。
伝統的な共同体、大衆社会、文化創造に向けた共同体、いずれもディレンマと困難を抱え込むとする。
さらにそのディレンマを、子どもたちが内包する大人たちの声の軋轢ととらえ、それらの結び目と綻びにいかに向き合っていくべきかと筆者は問う。
この本が出版されたのは1995年。すでに20年以上の時を隔てているが、現在進行している教育改革は、おおむねこうした問題意識に沿う形で進んできたのではないだろうか。