ギターのピッキングについて

フラットピックを使ったピッキングの名手として、ぼくがお手本と思っているのは、
クラプトンとイングヴェイです。
音楽性は全く違うんですけど、フェンダーカスタムショップのシグネーチャーモデルを同時期に発売したアーティストは、まぎれもなくこのお二人です。フェンダーストラトキャスターをメインに使用しているギタリストの中で、この二方こそ双璧と言えると思います。
 
ところで、ギターの難関は、この「フラット・ピッキング」にあります。
「フラット・ピック」とは、オニギリ型とかティアドロップ型といかう、所謂「ピック」のことです。ギターの奏法では、指で直接弦を弾く「フィンガー・ピッキング」というものがあります。しかしクラシック以外の多くのギタリストは、必ずと言っていいほど「フラット・ピック」のお世話になります。
そのフラット・ピックを使った奏法のことを、「フラット・ピッキング」と言います。
 
ちなみに、フラット・ピックの持ち方、扱い方は千差万別です。そして、どれが正しいと一概に言えないところに、難しさの根本問題があります。
誰でも初心者は、フラット・ピックの“持ち方”に関心を持つことでしょう。僕もそうでした。ギターの先生に、これでいいか確認した覚えがあります。
その後20年以上ギターを弾いてきて、未だに結論が出ないというのが正直なところ。
ピックを上手に扱うことは、意外に、というか、かなり難しい問題だということが分かってきました。
理由はいろいろあります。
まず、ピックの持ち方に関しては、変な思い込みに左右されがちなこと。
順アングルや逆アングルといったこと、ピックを持つ‘深さ’=ピックの先端を親指からどれだけ出すか、ピックの角度等、薀蓄が多岐にわたります。
そのどれが正しいかなんて、ちっともわからないというのが現状ではないかと思います。
 
僕の今の結論としては、
(1)人差し指の延長線上の先に、ピックの先端があること
(2)結果として、ピックの先端は弦に直角には交わらない。ピックの上端から先端を結んだ線は、弦に対して斜めの角度を保持しており、ピックの先端は、人差し指の延長線上を指している。つまり弦(地平線)に対して、右上から左下に向かって斜めの線を描くようにな角度にピックはなっているということ。
 
この二つのことを意識すれば、イングヴェイ的なピッキングのフォームになり、
驚くほどスムーズなピッキングが得られると思います。
例えばパット・メセニーなんかは、ピックを倒して持つのですが、あの持ち方は反則だよなと思いつつ、実際にやってみると、かなりスムーズなピッキングが得られるのです。イングヴェイのやり方と、パット・メセニーのやり方は、実は共通部分が多いのです。人差し指の力の伝わる「伝導率」が、ストレートで、高いということです。
 
まとめましょう。
ピックの先端は、弦に対して垂直な角度を保つべきという既成概念を捨てましょう。
ピックの先端はネック側を向いていて、傾いているのです。(ブリッジ側からネック側に傾いた線の軌跡!)
「垂直な角度」を保っているのは、クラプトンやスティーヴ・ヴァイです。クラプトンは、そのために中指を合わせた三本指でピックを支えることになります。また、スティーヴ・ヴァイは、かなり上級的なピックの持ち方を余儀なくされています。小指を浮かせるのは、イングヴェイの真似というより、彼にとって必然の結果なのでしょう。
また、ピックのアングル問題ですが、順アングルにすぐに移行できるというのが正解です。
逆アングルは、垂直派が陥るスタイルです。クラプトンやスティーヴ・ヴァイ(古くはヘンドリックス)は皆「垂直派」と言っていいと思います。しかしピッキングはそれほどスムーズにはいかないはずです。ピックが弦の抵抗をまともに受けてしまうため、テコの原理によってグラグラし、人差し指と親指のコンビネーションがめちゃくちゃ難しい配合を必要とするのです。
ぼくの提案は、イングヴェイ方式に変えることです。
なんといっても、アップピッキグがめちゃくちゃスムーズにできると思います。それというのも、ピックの先端が人差し指の先端を向いていて、親指と人差し指の挟み方に不自然な力が働かなくなります。人差し指の延長としてピックが機能するのです。
本当に、自分でも驚くほどの効果が得られると思います。
ピックの持ち方についてでした。