フェリー・コーステン

ちょっと前(といってももう10年近く前だと思うけど)、「トランス」ミュージックのブームがあった。この「トランス」という音楽を初めて聴いたのは、六本木の某クラブだったと記憶しているけれど、あの当時、このリズムの幻惑感に結構気持ちよさを感じて「これってすごいよね」と思っていた気がする。その直後に、テレビでフェリー・コーステンの紹介を見て、おお、この人があの音楽を創っていたんだね!と思ったことを覚えている。ただ、なんか無機質な音楽のようにも思えて、これってミュージシャンなんだろうか?と無意識的に素朴な疑問を抱いたことも確か。
でも、よくよく考えてみると、これも音楽だし、彼は自分では楽器を演奏していないけれど、彼が作り出していることは確かだよね。オーケストラの指揮者が音楽家であるなら、フェリー・コーステンも立派な音楽家なのだと思う。
それにしても、これを超える作品はないと思うくらい「アウト・オブ・ブルー」は傑作だと僕は思います。
この「無機質」な音楽が、ヨーロッパ発信であることも忘れてはならない要素です。
歴史の重さを背負いながら、伝統的な音楽とはきっぱりと決別した、テクノロジー中心の音楽ですが、伝統と本当に無縁なのだろうか。こんな壮大な曲を構想しえたフェリー・コーステンの思想に僕は興味を持ちます。