閉会中審査を見た感想2

今日の閉会中審査を途中まで見た。

自民党公明党も、既得権益を持った団体(獣医師会?)と、それに便宜を図る行政府(文科省)という図式で、歪められた行政を正すためにこそ国家戦略特区で岩盤規制に穴を開ける必要があったのだと論じている。
ここでは、文科省既得権益側であり癒着の温床、すなわち悪という図式である。
ここで問題にされている既得権益とは、具体的にどういうものか?
文科省が守ろうとしたものは、どのような既得権益と結びついているのか、その内容を詳らかに示されないまま、「既得権」「癒着」といった言葉だけが独り歩きしている印象だ。
一方、民主党安倍総理への「国家戦略特区の候補として加計学園が挙がっていることを知ったのはいつか」という質問では、安部総理はしどろもどろになってしまった。加計学園に決定された1月20日に初めて加計学園が候補だと知ったというのは、まったく馬鹿げている。不自然ではないか。
安倍総理は、座長でありながら、候補の大学の名も知らず、従って京産大との妥当な比較検討も知らずに、どうして公平公正な決定だと断言できるのだろうか?
また、山本地方創生大臣がしゃしゃり出て来て、勝手に安倍首相に代わって答弁する辺り、まさに忖度で動いていることを見せつけられたも同じじゃないか。

加戸前知事などが、今治市加計学園と一体になって、岩盤規制に穴を開けると言うのは問題ない発言だろう。加戸氏は地元の利益を代弁する立場なのだし、仮に一部の人間の利益を代弁しているのだとしても、それを地方行政が認めているなら、口出しは無用だ。
しかしそのことと、国家戦略特区で今治市獣医学部を新設すべきかどうかという問題は一緒くたに論じてはならないと思う。国家戦略特区は、地方利益(一部の人間の利益?)の代弁者にあらず、国家全体のビジョンの中で国益を代弁するものだからである。彼等が「岩盤規制」と呼ぶものもまた、国益を守るために歴史的に形成されてきたものである以上、総合的な視野で問題を論じる必要がある。それを、加戸氏の弁で説明は尽くされたとしてはならない。
また、安倍総理は民間議員をもって「民間の議論」と言うが、民間議員は果たして国家全体の利益を考える人たちだったのだろうか? 一部の人間の利益を代弁している人たちが選ばれてはいないだろうか? 彼等はどうして民間議員に選ばれたのだろう?
知りたいのは、獣医学部今治に新設する目的である。
・「感染症の水際対策ができていない四国に獣医学部を作ることは長年の悲願」(山本創生相)
・「四国の獣医師不足を補うには、四国に獣医学部を作りたい」(加戸氏)
四国に獣医師を増やすには、どうして四国に獣医学部を作らなければならないのだろうか。四国に獣医学部を作ると、四国の獣医師の人口が増えるのか?
・「世界のライフサイエンス研究に比肩し得る獣医学部を作る必要がある」(加戸氏)
既存の獣医学部を生かす方法では駄目なのだろうか。
いろいろな比較検討を踏まえて、「今治獣医学部を作ることでこんなふうに未来を変えていきたいんです」という説明があってしかるべきだろう。
しかし今回、政府も諮問会議ワークグループ(民間議員)も、誰もそういう説明はしていない。「今回の決定に一点の曇りもない」と言うこと(証明すること)だけに固執している。