あまり親しめない雰囲気だ。
いろいろと理不尽なことがまかり通っているのに、古参がいばっていて、若い者が追随している。
陰口をひそひそ言い合っている。
こういう職場の姿を見て、僕はなんだか絶望的な気持ちになる。
こんな風通しの悪い職場ったらない。
古参が問題だ。自己中心的な主張しかしない。
いろいろ言い出すとキリがないな。
ただ、この状況にNOと思っている僕は、かなり浮いているということは間違いない。
古参に追随する気はないし、古参に追随している若い人たちにも共感できない。
春樹さんだったら、こういう共同体を呪って、一人身軽に外部へと旅立つであろう。
僕も同じ気持ちである。
最近、タモリさんの記事を読んだ。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51131
タモリさんの生き方は、とても参考になるような予感。
参考までに引用してみる。
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「ああいうタイプの人というのは、過去だれかいましたか。いたでしょうかね。ああいうの。いや、お笑いタレントというのでもない。『芸人』という感じでもないね。なんだろうね、あれは」
タモリ(71歳)は、つかみどころのない人である。でもなぜか「あんなふうに生きられたら楽しそうだな」「幸せそうだな」と思わせる不思議な雰囲気を持っている。
「『いいとも!』時代、タモリさんはよく『毎日、新宿のアルタに、午前10時に来て13時半すぎに帰る。その繰り返し。だから俺は新宿に通うサラリーマンなんだよ』と言っていました。
これまでは『いいとも!』という制約があって地方に行くことができなかった。その分、今は自分の好きなことだけをやっている。これは32年も休むことなく『いいとも!』を続けてきた『ご褒美』なのかもしれません」
もともとタモリは内輪ウケの「密室芸」を得意とした「キワモノ素人」としてテレビに登場。『今夜は最高!』('81年、日本テレビ系)などいわゆる「夜の顔」だったのが、『いいとも!』で昼の顔となり、老若男女から親しまれる存在となった。なぜ本来、大衆的でないタモリに人は好意を抱くのか。どこに魅力を感じるのか。
まずはその知識の豊富さ、頭の良さだろう。
「僕もよくゲストに呼んでもらう『タモリ倶楽部』(テレ朝系)では、タモリさんが台本を開いているのを見たことがない。全部頭の中に入っているんでしょう。そんなタモリさんがこだわりを持って、やりたいことをやるから面白い。
常識的だから常識を壊せる
タモリさんは、決してウンチクを傾けるわけではなく、ちょっと違う視点で気づきを与えてくれるので、聞いているほうも心地よい感覚になるんです。『ブラタモリ』での一緒に歩く女性アナウンサーとの軽妙な掛け合いも面白くて、ふざけたことを言っても嫌みにならない。『こういう大人になりたいな』と思わせるものがありますね」
「タモさんはよく『知識をひけらかす料理人なんてろくなもんじゃない。客に緊張させる店は二流だ』と言っていました。その言葉通り、自分は決して威張らない。後輩であろうが垣根を作らず、『人の輪』を大切にされる方ですね」
「最初にタモリと会ったのは福岡のホテルでした。コンサートの打ち上げで盛り上がっていると、突然、知らない男が中腰で踊りながら入ってきた。サックスの中村誠一がデタラメな韓国語で怒ったら、何倍も上手い言葉で返してきた。
こちらは喜んでもっとやれと囃し立てた。あとでタモリに入って来た理由を聞いたら『面白そうだったから』。その瞬間、こいつはデキると確信した。
タモリはやはり頭がいい。滅茶苦茶なようで、言って良いことと悪いことの見極めはきちんとしている。何が常識的かは子供の頃から見抜いていた。かつて作家の星新一さんが『常識的な人間でなければ非常識な面白さはわからない』と言っていましたが、まさにタモリはそれですね」
常識を理解しながら、それを壊していく――こうしてタモリはビートたけし(70歳)、明石家さんま(61歳)らと共に「ビッグ3」と呼ばれる芸能界の大御所となった。その「ビッグ3」も今やサラリーマンであれば定年を迎え、余生を過ごす年齢である。だが、3人の現在の生き方はそれぞれ異なる。
いい意味で適当
タモリが自分の趣味ややりたい仕事だけを厳選し、人生を楽しんでいる一方、たけしやさんまは今も「お笑い」にこだわり戦い続けている。だが最近は「ちょっと世間からズレてきた」と感じさせることもある。
昨年末、コカイン疑惑により俳優の成宮寛貴が芸能界を引退したことについて、たけしは「やめなくたっていいんじゃないの。相手が『FRIDAY』なんだから、俺みたいにずうずうしく、いきゃあいいんだよ。じゃんじゃん嫌がらせの電話とか。俺が言えた柄じゃないけど」と自虐的にコメント。
続けて「それだけ気にかけられることは、売れてるってことだと思わないと」と持論を述べたが、ネット上では「売れていることと薬物疑惑は関係ない」との意見も挙がった。
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もう一人の「ビッグ3」であるさんまは、いい意味でも悪い意味でも「お笑いモンスター」として突き進んでいる。今でも「自分が一番面白い存在である」ことを示そうと、若手芸人に混じって番組ではしゃぎまわっている。
こちらもネットでは「老害」「痛々しい」といった声が挙がることもある。二人とも少なからず好感度を落としているのである。
「たけしさん、さんまさんは常に前へ前へのタイプ。もちろん二人とも凄いんだけど、濃すぎるから毎日見ていると疲れてしまう。
でもタモリさんなら毎日見ていられる。決して自分の主張を強く出すこともなく、自分と違う意見の人を攻撃することもない。それでいて『ボソッ』と的を射た発言をする。タモリさんにはどこか『品』があるんです」(前出の鶴間氏)
タモリと昨年亡くなった大橋巨泉氏との共通点を指摘する人も多い。二人ともジャズ畑出身。知識が豊富で、遊びの達人、名司会者でもある。だが巨泉氏が国政や社会について警告を発し続けたのとは違い、タモリにはどこか世間を達観しているような部分がある。
それは、タモリが「他人に期待していない」からかもしれない。タモリはインタビューで「他人に期待などしなければ、つまらないことで感情的にならずにすむ。そうすれば人間関係に波風も立たなくなり、円満にだれとでも付き合える」と語っている。
『タモリ伝』の著者である片田直久氏は、こう分析する。
「元々早稲田大学でジャズをやっていたのも影響していると思う。本当は熱いんだけど、それを押し付けがましく見せない。一種のダンディズムを感じます。決して力まず、ジャズらしい脱力感を大切にしている」
「ガツガツしてもいいんだけど、それを表面に出すことをタモリさんはあまり好まない。誤解してほしくないのは、適当っていうのは、いい加減という意味ではなく、無理に気張らずに適度に肩の力を抜いてやろうよということ。それがタモリさんの哲学なんです。タモリさん自身がいい意味で適当な人間ですから」(前出の片田氏)
タモリ自身は好感度について昔からまったく意識していない。実際「人に好かれようとする自分が嫌い」とも語っている。
タモリは解散するSMAPのメンバーに対して「友達なんかいらないって。俺、あの歌が大嫌いなんだよ、小学校に入ったら『ともだち100人できるかな』って。そんなことで人生決めんじゃないよ。今どんどん友達減らしていってる」と語った。この発言に「タモリさんに救われた」と、共感の声が一気に広がった。
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ネチネチもくよくよもしない
そもそもタモリは、お笑い芸人やスターになりたいと思って、この世界に入ってきたわけではない。前出の山下氏が振り返る。
「タモリは昔からギラギラしてなくてヘラヘラしていました。むしろ『どうせ俺は……』みたいな感じで、目標とか野望が垣間見えることはなかった。でもそれが逆によかった。タモリの今があるのも、生き方自体にそんなにこだわりがなく、流されるまま面白そうなところについていったからだと思いますよ。
タモリは何事にもこだわらないところが良い。変にネチネチしていない。きっと自由を愛しているんです。さんまさんやたけしさんは、芸人であるということをしっかりと自覚されているけど、タモリは自分で芸人だとは思ってないでしょう」
あくまで「自然体」で生きる――くよくよしない。それがタモリの生き方である。
「タモリさんは未来にも過去にもこだわらない人なんです。『現状維持』というのがタモリさんの座右の銘であるように、5年先のことなんて誰も分からないし、いくら過去を悔やんでも取り戻せないんだから反省もしない。それだったら今を肯定して生きればいいと。