『復活』と『ノルウェイの森』

韓国ドラマ『復活』を見終えた。
ハラハラドキドキする展開で、ものすごく楽しめた。
なんといっても、悪役チェ・ドンチャンのキャラが素晴らしい。
そして、どの俳優にも言えるけれど、目で演技ができるところも凄い。
説明過多は陳腐になる。ドラマは言葉で説明出来ないものを、映像で表現するジャンルなのだ。そこが分かっていないと、つまりナレーションに依存したりして、詩的に見えるけど詰まらないサンブツができあがる。映像にとって言葉は、力にも刃にもなる。
昨日見た『ノルウェイの森』は、そこがすごく歯痒かった。
必要ないときにナレーションが入る。ナレーションに依存しないと理解できない映像なのだ。あるいは、(見る者にとって原作の理解に依存して作られた表現が多い。そして、監督はこの映画を原作に忠実に、そして華麗に美しく作ろうとしているようなのだ。その結果〈「リアリズム」と謳った小説のイノチ〉は生かされなかったようである。正直にやろうとして失敗してしまった感が強い。)
小説とはそもそも「嘘から出たまこと」を信じる芸術ジャンルだったはずである。その危ういアクロバティックさに、この芸術のイノチがあったはずだ。それを信じるなら、原作の設定を変えてでも表現する潔癖さこそ求められたのではないか。
原作に忠実であろうとする潔癖さは、かえって自分自身を裏切ってしまったようだ。
まぁ、悪口を言おうと思えばいくらでも言えてしまうのだが、それでは何の生産性もないような気がする。誰かいいところを褒めてあげてくれ。