桜の季節に寄す

今年の桜の開花予想が例年よりも五日早まったというニュースを読む。
それはそうだ。こんなに暖かなのだから。
桜の季節がまたやって来る。
来月から新しい職場へ赴任する。初の異動である。
大変喜ばしく感じるとともに、結果として仕事を途中で投げ出してしまったことに、いくばくかの後ろめたさを感じてもいる。
今、自分が関わってきた生徒たちに対して、自分が何ができたかのかを問われると、いささかつらい。
大変残念なことである。現場の教師の仕事は、子どもと接することの具体的な諸場面の中にこそ、喜びも苦しみも反省もあるわけで、その点で、おおいに心苦しく感じる。この一年における子どもたちとの一回的な出会いを、どう評価すればいいのか僕には分からない。子どもたちは、長いこれからの人生を生きるうえで、僕の記憶を深く止めることはないだろう。自分の仕事にどんな価値があったか、それを誰がどのように評価するのか、今の自分には知るすべもない。