最近面白いと思ったこと

先日授業で『評論入門のための高校入試国語』を子どもたちと読んだのだが、なかなか面白い。
内田樹氏の文章からの出題で、ぼくは初めて氏の文章を熟読したのだが、こんなに面白いことを言う人だとは知らなかった。しかも石原氏の解説が効いている。
ちなみに、脱線になるが次のような石原氏の指摘は、本当に面白い。

(評論を分かるためには、<大きな枠組み>を知っておくことが大切だとしたうえで)「こういうスタイルを採るのにはもう一つ理由がある。それは、文章の読解は細部を積み上げる作業と全体を一気に把握する作業とが同時並行して行われなければならないのである。おそらく教室では細部の読みを積み上げていく読み方を中心に学ぶだろうと思う。ずいぶん昔のことになるけれども、僕もそうだった。教室ではなぜか細部から読むのかと言えば、そういうやり方が、目の前で黒板に文字や図を書きながら、多くの生徒を前に直接語りかけることのできる教室という場に適しているからである。それに、教室で全体を一気に把握する読み方を教えようとしたら、勘がよくて瞬時にしてそれがわかる生徒と、じっくり考えなければならない生徒との間で落差ができてしまって、授業が成立しなくなるだろう。学校では教室という空間をみんなが共有することが求められているのだから、それは困った事態だということになってしまう。」

まさに、まさに。こういうことをズバっと指摘してしまう石原さんって、本当にレアリストだと思ってしまう。(昔この人の講義を受けたときは、そんなふうに思わなかった・・・)