「自分辞書」について

樋口健夫さんは、自分のアイデアや思考、意見のためのノートを「三次ノート」と呼びました。これは、研究者が言うところの「研究ノート」に当たるでしょうか。ただ「研究ノート」という場合、「フィールドで採集してきた情報の記録」ということもあり得ます。しかし先の樋口氏の分類では、それは「二次ノート」。自分のアイデアや意見にまで消化=昇華されることが、三次ノートの条件なのです。なので、外山滋比古氏の言う「メタ・ノート」がこれに近い思われます。
こうした研究ノート(メタ・ノート)とは、いわばストック情報。メタ・ノートの役割は、今やPCがそれにとってかわろうとしています。デジタル・オフィスの構築が今後の課題となりつつあります。

今や手書きのメモやノートは、三次ノートとしてよりも、一次や二次ノートとしてこそ有効であるような気がしています。手書きのメモやノートは、フィールドワークにこそ適したツールだと思うのです。
日々流れるフロー情報を書き留めておくメモ。今やペンとメモ帳を持ち歩くことは、知的生産術の常識となりました。
そんなメモと一線を画すのが、「スタディ・ハック」で紹介されている「自分辞書」です。
自分辞書とは、当面自分の関心とするテーマの情報を寄せ集め、参照できるようにしておくためのもの。「スタディ・ハック」では、モールスキンを使って、雑誌の切り抜きを50%縮小して貼るというやり方が紹介されていましたが、オフィスを持たない人にとっては、縮小コピーもひと苦労。そんなとき、ふとトラベラーズ・ノート(TN)を使ってみてはと思い立ちました。
TNならば、A4サイズであれば縮小せずに折って収納ができる。ネットで地図をA4印刷して貼ったり、発見したお店などのチェックを書き込んでいけば、自分用の街歩きガイドになります。美味しいお店をリスト化すれば、マイミシュランガイドになるでしょう。買いたい本・CD・DVDのリストを携帯するのはもちろん、観た映画の感想をまとめれば「マイ映画批評ガイド」が出来上がります。他にも、興味のあることだけをテーマに選んで、情報のリストを作っていけば、マイ○○ガイドになるでしょう。
フローとストックの中間くらいに位置する「ゆるいノート」というのが、この「自分辞書」の位置づけということになるでしょうか。