古い中国歌謡を聴く

最近、古い中国歌謡曲にハマっており、その流れの延長上で、現代の中国のミュージシャンにも興味を持っている。なんでこんなことに興味を持ち出したかといえば、これもまた先日観た映画「ラスト・コーション」の中の一場面で、湯唯の歌った「天涯歌人」によるところが大きい。
これは1930年代に流行った曲だそうで、調べてみると面白い。李香蘭や蘇州夜曲といった日本人にとっても馴染みのある固有名を、歴史の文脈にもう一度呼び起こして捉えなおしておきたいものだ、などと殊勝なことを思ってみたりする。

戦後中国の歌謡曲史において大きな功績を残したのは、やはり鄧麗君であろう。
台湾出身の彼女が、中国本土において絶大な人気を誇り、政治的に利用され、自らも政治的に行動した。中国共産党の嫌悪感にもかかわらず、中国本土での人気は不動であった。2001年に八達嶺の万里の長城ツアーで乗ったバスの帰りに流されていたのは、彼女の曲であった。)本土でのコンサートは実現かなわぬまま、42歳という若さで逝去した。日本でも活動を行い、様々なヒット曲を残しているけれど、中国歌謡史における位置づけは、あまりよく分からないという人が多数派だろう。

ところで、彼女の音楽的な継承者は、王菲だと言われているらしい。確かにカバー曲が多い。
北京出身で、香港で活動し、日本ではプレステのゲームソフト「ファイナル・ファンタジー」の曲を歌ったりして、よく知られた人である。彼女のブレークのきっかけは、ウォン・カーワイの「天使の惑星」という映画であった。といっても、ある世代以上の人しか知らないかもしれない。

今年は北京オリンピックがあり、中国は何かと話題の国ではある。
一方でチベットはあのような状況に置かれている。12憶という途方もない人口を抱えて混迷する中国の、とらえどころのない現在のひとつとして、今のチベットを含む様々な問題が発露している。