『レデンプション・ソング』

むかし、……といっても十年ちょっと前の話だけど、当時大学生だった僕は、毎日深夜ラジオに耳を傾けていた。FM81.3といえば分かる人には分かると思うんだけど、J-WAVEだ。今はもうラジオを聴かなくなってしまったので、最近どういう番組をやってるか全く知らないのだが。当時は、時代の空気感を間違いなくリードしている放送局だった。深夜、モーリー・ロバートソンとか、ロバート・ハリスといったパーソナリティーの言葉に耳を傾けたものだった。僕の尊敬していた人たちだ。
アクロス・ザ・ビューという番組の最後に決まって流れるのが、ピアノとサックスの美しい音色が奏でる都会的な音楽だった。ぼくはその曲の名前を知らず、毎晩その美しい音楽の音色に心酔しながら眠りについた。
あの曲は何だろう。それが気がかりなまま数年が経ったが、そのうちIT革命がやってきて、ネットで曲が検索できるご時世となった。それでやっと分かったのだ。その曲の名前が。
「レデンプション・ソング」(Redemption Song)という曲だ。
原曲は、あの有名なボブ・マーリー。でもラジオで流れていたのは、イギリスで活躍する黒人サックス奏者、コートニー・パイン(coutney pine)のものだった。是非CDを買って聴いていただきたい。こんな美しい曲があるものか? とマジで思うはずだから。