孤立化する現代を生きる

戦後70年、日本の社会は大きく変化しました。
ということは、この国に生きる我々日本人が大きく変質したということです。
かつてはムラ社会だった日本が、今では隣の住人のことすらよく分からないのが普通になっています。
駅で人が倒れていても、なかなか声をかけられません。
ホームレスとおぼしき人なら、スルーする人が多数派でしょう。
昔の日本はきっとそうではなかった。
街の風景も大きく変貌しました。
 
僕は新宿の街をよく散策しますが、この街こそ現代日本をよく映す鏡のような場所です。
無数の人々の様々な欲望を飲み込みながら、どこへ行きつくのか分からない街。
数十年後の日本は、どこへ行きつこうとしているのでしょうか。
僕が子ども時代を生きた70~80年代は牧歌的時代だったでしょう。90年代はバブル以降、トレンドの残滓に酔っていた時代でした。2000年代になって、不景気の停滞感の中で、孤立化が進みました。時代を覆う共有感覚としてのトレンドは失われたのではないでしょうか。
もう、今の時代、私とあなたを結ぶ共通項はありません。
いろいろな奴がいて、いろいろな感受性があり、そのどれもが否定されることなく存立している時代。
他者を侵すことがはばかられる時代。
そんな時代の中で、わたしたちは孤立し、あなたとわたしは、ついに繋がる契機を持たないままです。
そんな個人が剥き出しにされてある、寂しい時代を生きなければならない。
そこで、どれだけ濃密な個人対個人の関係を構築できるかが試されているとも言えるのではないでしょうか。
今を生きるしんどさに、決して挫けず、諦めず、自分の信じる道を歩みたいと思う今日この頃です。