live image +

このDVDのオープニングは、鳥のチュンチュンという鳴き声で始まるのだが、この声は image という音楽プロジェクトのテーマを象徴しているように思われる。どこかのブログで、加古隆だったか誰かがimage の音楽を「映像音楽」と自己定義して言ったということを書いていた。imageは「ヒーリング音楽」と一般的にはジャンル分けされているけれど、なるほどと思った。「映像音楽」の方が、ずっと正しいように思う。
音楽も、ロックならロック、ジャズならジャズというように、自分の殻の中に閉じこもる傾向がある。音楽のそうした自己の殻を脱いで見せたのが、この image ではなかったかと思う。いずれは image も「image」という殻の中に閉じこもる日が来るのかも知れない。すでに来ているのかも知れないけれど。
しかし、そうであるとしても、やはり image は新鮮だったのだ。それは、汲み尽くすことのできない地球の自然や大地への賛歌のようなものであり、古今東西の歴史や文化への憧憬や尊敬のようなものを表した音楽ではなかったかと思う。くしくも、そうしたテーマ性を持った番組のテーマ曲が数多く収録されている。TBSの「世界遺産」のテーマ曲「ソング・オブ・ライフ」をはじめとして、「三千院」「地球に乾杯」「ユニバース」、ディープ・フォレストの「フリーダム・クライ」、「情熱大陸」などなど。
20世紀から21世紀へと移り変わる時代の中で、激変する時代と環境を目の当たりにし、グローバル化した情報化時代に相応しい想像力を必要とした時代の要請に応えるかのように、数々の番組が製作された。それらの番組は、グローバルな時代の想像力を映像と音楽で示していた。
90年代は、龍村仁によって「地球交響曲」の製作上映が開始された。90年代を半ば過ぎ、星野道夫が逝った。

鳥の鳴き声は、自然と大地のイメージを喚起する。

本来「自然」とは、これまで人類が作り上げてきた意味の体系に収まりきらないものであるに違いない。だからこそ image を聴きながら、自然の豊穣なイメージの世界に身を委ねたくなるのかも知れない。