焦らずコツコツと

今日の仕事は疲れた。
単純作業の繰り返しである。
気の長くなる仕事だが、この仕事だけにかかずらわっているわけにはいかない。
しかし、すぐに終わらせる必殺技があるわけでもない。
一つ一つの作業を無限に積み重ねていくしかない。
こういう作業は苦手だ。
途方に暮れる。終わりが見えないし、かなり面倒くさいし、こんなくだらない機械作業に時間を取られるなんて、本当に困った事態だと投げ出したくなった。
実際、目も疲れるし、肩も凝ってくる。
しかし、そうはいっても、やっているうちに、自分のペースをつかみだし、このペースで行けば、見通しも立つなと思い始めてきたときは、もう目の疲れも肩の凝りも感じなくなっていた。
いたずらに焦燥感に襲われなくなったからだろうか。
そうして、午後の4時過ぎには終わったのである。
朝8時から始めて午後の4時まで、誰の手を借りることもなく、自分ひとりの力で終わらせたわけだ。
このエピソードの教訓は、やっているうちに慣れるということだ。
あるいは、小さなことを積み重ねるしか、ゴールに至る道はないということをアレゴリカルに、あるいはアナロジカルに示している小咄と言えよう。
僕はいい歳になっても、今だに英語も使えず、楽器もろくに弾けないのだが、それはこうした単純で小さな作業を疎かにしてきたからではないのか。
楽器を弾くには、小さな断片の練習を積み重ねていかなければならないだろう。
英語を使えるようにしたけりゃ、たくさんの単語を身につけなければならない。そのためには、何度も辞書を引く根気が必要だ。
しかし、これまでそうした単純作業や面倒くさい作業を避けてきた。いっきにゴールに辿り着く魔法の方法がどこかにないかと探してばかりいたようだ。
しかし、答えは目の前にはじめからあったのではないだろうか。
つまり、誰でもやろうと思えばできることを、やるのか、やらないのか。そういうことなのではないか。